第17回世界湖沼会議(WLC17)開催趣旨
水はすべての生命の基礎であり、人を含む多様な生態系に多大な恩恵を与えてきました。湖沼が、農業や漁業、産業そして文化においても、極めて重要な資源・資産であり、その環境の保全が重要です。
前回、1995年(平成7年)に茨城県で開催されました第6回世界湖沼会議では「人と湖沼の調和 −持続可能な湖沼と貯水池の利用を目指して−」というテーマを掲げ、湖沼の利用と環境保全、淡水資源の確保と管理、湖沼の富栄養化や化学物質の影響について議論し、人間と湖沼の調和を取るべく意見交換を実施しました。更に水環境保全活動の取組や環境教育に焦点をあてたことにあてたことによって、多くの流域住民や市民団体が参加し、市民活動が活発になる契機となりました。
近年、世界湖沼会議においては、生態系に関するテーマが議論されています。また生物多様性は人類の生存を支え、人類に様々な恵みをもたらすもので、生物に国境はなく、世界全体でこの問題に取り組むことが重要であることから、生物多様性条約が1992年(平成4年)に採択され、情報交換や調査研究等を各国が協力して行なっています。
一方、日本においては、水が人類共通の財産であることを再認識し、水が健全に循環し、そのもたらす恵沢を将来にわたり享受できるよう、水循環に関する施策を総合的かつ一体的に推進するために、水循環基本法が2014年(平成26年)7月に施行されました。法律では、「水循環の重要性」、「流域の総合的管理」等を基本理念として掲げ、地方公共団体、事業者、国民それぞれの債務と関係者相互の連携及び協力について定めています。
食料や水の供給など生物の多様性を基盤とする生態系から得られる恵みである生態系サービスを人は享受してきました。しかし、開発行為や気候変動等により生物の多様性は急激に失われつつあります。今回の会議では、人が生物多様性の保全や回復により一層務めることで、生態系が維持される、即ち人と湖沼が互いに支えあう、共に生きていく社会づくり(方策)について議論します。」また生態系サービスを将来にわたって持続的に享受するためには、どのようなことに取組むべきなのかを、住民、農林漁業者、事業者、研究者、行政などに湖沼に関わりを持つ全ての人々が、情報の共有、意見交換を行います。
本会議を契機に、様々な立場の者がそれぞれの役割分担のもと、連携がより一層強化され、湖沼問題解決の新たな進展につながることを目指します。